秋色の尾瀬ヶ原を往く (第61回 歩こう会)
8月の第60回歩こう会(御岳山~大岳山)は参加者が5名とやや寂しい結果でしたが、天候もそこそこで下界の猛暑を忘れて、涼しい尾根歩きを楽しみました。
8月は記録的な猛暑続きで、9月に入っても連日の真夏日にいささか夏バテ気味の幹事ですが、日本列島はゲリラ豪雨や竜巻、さらに台風の直撃を受け各地で大きな被害を受けました。
落ち込んでばかりもいられませんので、気を取り直して尾瀬ヶ原散策を企画しました。幹事が楽を決め込んだわけでもありませんが、アプローチを考えてクラブツーリズムを利用し小型バスで鳩待峠に直行し、尾瀬ヶ原を往復する日帰りの旅です。募集に応じて参加したメンバーは幹事を含め13名と活況でした。
9月21日(土)は秋のお彼岸で3連休の初日、天気はここ数日の好天が残っておりこの日も絶好の晴天、午前7時20分池袋発のバスツアーです。
集合場所は池袋サンシャインシティの文化会館、駅から徒歩20分のやや分かりづらい所だけに出発に間に合うか心配したが、さすが[歩こう会]の会員諸氏だけに全員余裕を持って顔を揃えた。
我が一行13名のほかに8名の同乗者、計21名を乗せて定刻に池袋を発ち、一路目的地を目指す。添乗員の久保さんの話では午前10時45分に鳩待峠に着く予定とのことでまずは順調に関越道を北上したのだが、好天の休日とあって行楽を求めて多くの車が一斉に繰り出し次第に混み合ってきた。高幡サービスエリアでトイレ休憩した頃から遅れがはじまり、進むにしたがってところどころ渋滞するようになってきた。そのうち、上里サービスエリア付近で事故発生との報が入りノロノロ運転を余儀なくされ、大幅に時間超過した結果鳩待峠に到着したのはすでに午後1時となっていた。鳩待峠は標高1591m、休憩所や水場・・トイレ(ここから先、トイレはすべて有料=100円)などが整備されている。
昼食のマイタケ弁当はみんな車中で済ませていたので、思い思いにストレッチで体をほぐしてすぐに(午後1時10分)出発した。
ここから山ノ鼻までは3.3km、ブナやミズナラの樹林帯の中の約200mの下りである、下り口に登山靴を拭くマットが敷いてあり、外から雑草の種などを持ち込まないようにしていた。歩き始めは石がごろごろしたやや急な下り道で躓かないよう用心する。すぐに石畳のように石を囲った階段となり、そこを過ぎると今度は木の階段となる。下から登ってきた人たちがそこここで息を切らして一休みしていた。そのうちに道は木道に代わって緩やかに下って行く。坂道を下りきると左手に川上川が開け、川に沿って右手の平坦な木道を進むと間もなくヨセ沢に着く、山ノ鼻まで2.2kmの表示があった。ここからはずっと平坦な木道でダケカンバやミズナラの明るい木立の中の一本道だ。木道は右側通行となっていて、すれ違う人々とあいさつを交わしながら行く。三連休の初日にしてはそれほど混雑していない。足の速いひとが時々左側から追い抜いて行く。テンマ沢にかかる橋を渡ると小さな湿原があり、花の終わった水芭蕉が見られた。川上川にかかる川上橋を渡るとすぐに視界が開けて、山ノ鼻ビジターセンターの前の広場に出た。標高1400mで鳩待峠から50分弱の道のりであった。
ビジターセンターの隣には山小屋(至仏山荘)もあって、広場のベンチでは大勢の人々が休憩していた。あたりにはガマズミやマユミの木が赤い実をつけている。ビジターセンターの先を左に行くと至仏山への登山道で入口には植物研究見本園もある。
我が一行もひと休みして、午後2時15分に牛首目指して出発した。牛首までは片道40分の道のりとのことなので、行けるところまで行き、3時15分までに山ノ鼻に戻ることにして、ばらばらに分かれて出発した。
広場を右に折れ、すぐに左に折れると湿原となる。トリカブトが青い花をつけている。眼前にはどこまでも続く木道の先に燧ヶ岳(2356m)がどっしりとした姿を見せており、振り返ると至仏山(228m)のなだらかな緑色の稜線が一望のもとであった。
このあたり一帯を上田代といい、見渡す限りワタスゲやサギスゲ・ヤチスゲなどスゲ類をはじめとする湿原の植物に覆われていて、猫又川、ヨッピ川、上大堀川などの小川が網の目のように流れ、ところどころ池塘が現れる。
左右の山すそにはダケカンバやブナ、オオシラビソ・ナナカマドなどの林が点在していた。木道を歩いて行くと、足元にエゾリンドウの青紫の花が群生し、目に染みるようだ。スゲ類やキンコウカなどが橙色に紅葉し始めており、進むにつれて次第に池塘が現れ、ヒツグサが可憐な白い花を咲かせていた。
牛首分岐(三叉)までは2.2kmだが幹事を含むゆっくり組は1.5kmほど行ったところにある休憩所(木道の左手に木製デッキがあり、ベンチもおかれている)でひと休みして折返すことにした。一面の草紅葉の中、池塘の紺碧の水に周囲の山並みが映って実にすばらしい眺めであった。
来た道を引き返して山ノ鼻に着いたのが午後3時丁度。やがて足速組が戻ってきた(牛首分岐迄往復したという)ので全員で記念の写真を撮り、3時20分に鳩待峠に向けて出発した。
ヨセ沢までは比較的平坦な木道を折り返してぐんぐん進んだが、そこから先が上りとなって「行きはよいよい帰りは恐い」の唄の文句そのままにあえぎながら登って行った。途中何度か休みながら午後4時半過ぎになんとか鳩待峠に帰り着いた。健脚組は駆け足で競争し、50分足らずで到着したとのことであった。バス待ちの間にビールで喉を癒す人、トイレを済ます人、土産を買う人など様々であったが、中には湯を沸かしてコーンスープを作る人などもあった。
午後5時少し前に、一路東京へと鳩待峠を後にして、尾瀬に別れを告げた。
登りの道路は、上里サービスエリア付近で事故があったせいでちょっとした渋滞に会ったものの、往きに比べ順調に走り、途中2か所のトイレ休憩を経て、予定より2時間強遅れの午後9時10分に池袋駅西口・東京芸術劇場手前に到着。
夜も遅くなっていたので、挨拶もそこそこに解散、各自家路を目指して帰路に着いた。みなさん、お疲れ様!
【参加者】
阿萬和水・生田陽代・葛城征志・坂井大和・恭子・竹上英文・中邑敬一・松浦靖弘・松岡幸秀・美知子・松永幸一・山下政晴・梅谷覚雄以上13名