横須賀軍港めぐり (第62回 歩こう会)

 11月7日(木)は早朝から雨となり、いささか肌寒く感じられる天気であったが、午前9時50分にJR横須賀駅に集合し、基地の町を探訪することとなった。定刻に顔を揃えたメンバーは10名で間もなく2名が合流、さらに2名がこれから向かう三笠公園に先行して一行を待つことに、合わせて14名の参加である。挨拶もそこそこに駅前のバス停から京浜急行の横須賀中央駅方面に向かう。

 あれこれあって、スタートは10時20分を若干過ぎていた。京浜急行のバスはすいていたが走り出してすぐに渋滞となり、海岸沿いにノロノロと進む。

 本町1丁目で降りるつもりが手前の本町2丁目で降りてしまったので、やや強めの雨脚を傘で遮りながら三笠公園を目指す。基地の町とあって横文字の看板がやたらに目につく。天候のせいもあってか道が長く感じられて、途中でたびたび道を尋ねながら、きれいに整備されたタイル張りの遊歩道を神奈川歯科大学と附属病院の広い敷地に沿って歩き、10時40分に最初の目的地三笠公園に着いた。

 ここは日露戦争時の日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃破した東郷平八郎率いる連合艦隊の旗艦「三笠」を記念艦として係留・展示している。「日本の都市公園百選」「日本の歴史公園百選」に選定されており、きれいに手入れがなされ、音楽噴水や東郷平八郎の銅像などがある。今週末の9日・10日には「よこすか産業祭り」がここで開催され、大変賑わうとのことでテントの設営などその準備に追われている様子であった。

 各自「記念艦三笠」の観覧券を購入して(シニアは100円引き)自由見学。

 上甲板は雨に濡れて滑りやすいので、階段の上り下りなど特に注意しながら砲筒やマスト・艦橋など見て回る。艦内(中甲板)に降りると艦首には講堂、艦尾には長官室・士官室・幕僚事務室などがある。中間には左舷・右舷・中央と展示室があって、それぞれ当時の展示品と歴史などの説明・表示がきちんと整備されていた。

 11時半に上甲板に戻って、集合写真を撮り三笠を後にした。ようやく雨も上がり青空が広がってきた。公園を抜けて、来た道を本町1丁目の交差点まで戻り、左に折れて横須賀中央駅を目指す。

 細長い商店街はアーケードになっており、他都市のようなシャッターが下りてさびれている状況と違って、ウイークデーの昼頃というのに活気に満ちていた。

 横須賀中央駅について、交番で「海軍カレー本舗」までの道を聞く。エスカレーターを登って、歩道橋を渡り階段を下りて二つ目の信号のそばにオレンジの屋根とカレーの看板が目立っていた。

 横須賀市は平成11年に「カレーの街推進委員会」を立ち上げ「カレーの街」を宣言、平成13年には「よこすか海軍カレー」を商標登録したそうだ。「よこすか海軍カレー」は旧日本海軍の伝統をひいて、小麦を煎ったルーでとろみを付けたカレーにサラダと牛乳の三点セットを供するのが決まりで、薬味にチャツネを添えるのが定番になっているという。

 市内では30店舗が「よこすか海軍カレー認定店」になっているとのことだが、駅に近い店として「海軍カレー本舗」を予約していたので、2階のレストランは混んでいたが席を確保していてくれた。

 全員スペシャルカレー1200円也を注文。横須賀ビール(地ビール)を頼む人もあった。

 予定より時刻がかなり遅れていたので、あたふたと食事を済ませて、店にタクシーを呼んでもらい、4台に分乗して汐入の軍港クルーズ・ターミナルに向かう。乗船時刻・午後1時の20分前に何とか到着。ここでも結構な人で混んでいたが予約していたのですんなり乗船できた。

 定刻に出航、スピーカーで陸地の設備や停泊中の艦船などの説明があった。

 横須賀本港の右手がアメリカ海軍の基地になっており、そこのバースに海上自衛隊の最新鋭潜水艦が停泊していて、こちらの船を見て乗組員が一斉に手を振ってくれた。続いて米海軍のイージス艦が4隻、一部はレーダーを修理中とのことであった。この基地を事実上の母校とする米第七艦隊の原子力空母ジョージ・ワシントンは現在出航中でその雄姿は見られなかった。艦船修理用のドックの中には幕末に幕府の軍艦奉行小栗上野介忠順がフランスの技師・レオンス・ヴェルニーを招聘して建設せしめたという150年前の施設が現役稼動しているという。

 港を出て東京湾内に入る。右手前方には千葉県の富津岬が見え、海上の距離は僅か7kmとのこと。(ちなみに横浜は23km)左手は奥から千葉の船橋・東京・川崎と続いて横浜の本牧埠頭が望めた。川崎と木更津を結ぶアクア・ブリッジは霞んで見えなかった。

 船はUターンして長浦港に向かう。追浜の先に小高い森が見え、かつて伊藤博文の別荘があったとの説明あり。手前には日産自動車の追浜工場があり、見学者が引きも切らないとのことであった。長浦港には海上自衛隊の艦隊司令部があり、海洋調査艇や掃海艦・護衛艦などの艦艇が多数停泊していた。また退役して解体待ちの旧式潜水艦が係留されていた。

 長浦港から横須賀本港に戻る際、新井地割水路(人工水路)を抜ける。左手は昔の岬で現在は吾妻島となっており、米軍と海上自衛隊の共同使用施設となっている。水路を抜けると右手に青いネットが見えたが横浜ベイスターズの練習場だそうな。きっかり45分間のクルーズを終えて下船したが、すでに次の乗船待ちの人々の行列ができていた。

 汐入ターミナルからJR横須賀駅に向かう海岸沿いには平成13年度末完成のフランス庭園様式の「ヴェルニー公園」がある、ここも肌理こまかく整備されていて、2000株のバラが丁度秋の日差しに照り輝いていた。「いこいの広場」「さくらの広場」「フランス式花壇」東屋・小栗上野介とヴェルニ―の胸像・カフェレストランなどが点在し、犬を連れた人などが散策していた。横須賀駅のすぐ先にはヴェルニー記念館もあり、じっくり見学すれば小一時間はかかりそうだ。

 一行の中に午後2時12分発の逗子行に乗りたい人がいたので、何となく早足になってヴェルニー公園を20分ほどでさっと通り過ぎてしまった。JR横須賀駅はガランとして人影も少なく、京浜急行の横須賀中央駅周辺の賑わいが嘘のように感じられる。日差しが再び翳ってきた。

 結局、少し早いが取り敢えず逗子まで行き、そこから各自思い思いに帰途に就くことにして、お互いに挨拶を交わし御開きとなった。

(参加者)
生田陽代・江藤浩一・葛城征志・玲子・坂井大和・恭子・戸次笛子・松浦靖弘・松永幸一・松永政弘・紀久子・溝部憲治・山下政晴・梅谷覚雄 以上14名